火打山2462m・妙高山2454m(新潟)
-hiuchisan/myokosan-
2005/07/31-8/2
 8月1日(月)  岩の妙高山  
 夕べは食事が食べられなかったが、ぐっすり眠ったら元気になった。朝起きると窓から北アルプス白馬岳方面がよく見える。例年より雪が多い気がする。小屋のすぐ近くの水場に行き顔を洗う。水はとても豊富だ。
 朝食はご飯、パンそれぞれ好きなものにした。私は夕べ食べなかったので、パンにチーズや野菜をはさみ、スープを作る。今朝は美味しく食べられた。
     朝の白馬岳
   高谷池ヒュッテは妙高高原市の経営で、町の観光課の職員なのか山小屋にしては皆妙に愛想がいい。私たちが「お世話になりました。」と挨拶すると「何の仕返しもできませんで。」と返してきた。
 ここは、自分のごみ(トイレも含め)は全て持ち帰るシステムになっている。
 今日は茶臼山を経て、黒沢池ヒュッテに向かい大倉乗越を越え、妙高を往復し、黒沢池湿原を通り笹ヶ峰に戻る長いコースとなる。
 出発    
緩やかにアップダウンを繰り返し、振り返るとまだ北アルプスが見える。下り始めると黒沢池と、ここにも地塘が広がり、宇宙ステーションのような青い小屋が見えてきた。その向こうにゴツゴツした山は妙高山だった。   
 黒沢池ヒュッテまでは1時間足らず。ここは燕温泉と、笹ヶ峰妙高山からの道が交わる。荷物を置かせてもらい、トイレを借りたいとお願いしたら、あまり感じのよくない小屋番が何か買わなければだめだという。
     黒沢池と中央奥が妙高山
   誰もただで借りようなんて思ってもいないのに、もう少し他の言い方があると思うが。登山暦が一番長いtomoさんは「山男なんて皆こんなものよ。普通の仕事に就けないから山にいる人が多いのよ」と動じなかった。
 凍るほど冷たいポカリスエットを買い、サブザックだけにして妙高に向かう。
 大倉乗越を登っていると、さっき一緒だったご夫婦の奥さんだけが降りてきた。「これから先、私の体力では無理だと思い、小屋に引き返すことにしました。」という。
 黒沢池ヒュッテ    
 大倉乗越に着くと、目の前に妙高山が大きく立ちはだかり、真下には長助池がはるか下に見える。これを見ると、誰でも恐れをなし、止めたくなる気持ちもわかる。私も一瞬怯んだ。  
 ここを下り、あの妙高への急登を登るということは、帰りにはまた大倉乗越を乗り越えなければならない。こういうとき友達の力は大きい。皆がいるから頑張れる。
 さっきまであんなによく見えていた妙高が雲に覆われ始めた。やっと登った大倉乗越をどんどん下る。ヒメシャジンが群生していた。この花が咲くと山の夏はそろそろ終わりだとか。
 雪渓の残る沢を渡る。モミジカラマツの白い花が大群落をつくっていた。  大倉乗越(後方は妙高山)
    燕新道と合流すると、いよいよ最後のきつい登りが待っていた。 
 岩がゴロゴロした道が続き、両手両足を使いながら登るようになる。だんだん岩が削られたようになり、視界が悪くなった。硫黄の匂いが鼻をつくようになる。登っても登っても上が明るくなってこない。
 ヒメシャジン  妙高山への最初の登り  だんだん足が重くなってきた。
 1時間ほど登った頃、ハクサンシャクナゲの白い花が見られた。頭上も少し明るくなり、山頂が近いと思われる。  
 10時5分、妙高山登頂。今朝小屋を出てから4時間。久々のすごい登りだった。天気がよければ北信越の山々、北アルプス、日本海に浮かぶ佐渡まで見えるというが、あいにく雲の中で展望はなし。
 妙高山は、なだらかな火打とは違い、山頂も荒々しい岩峰だが意外と広い。三角点のある北峰祠のある南峰がある。東側だけ開けたU字型の外輪山が、妙高山を取り囲むように連なっている。
     大倉乗越
   これから標高差1100m以上を笹ヶ峰まで下らなければならない。また、大倉乗越を越えなければいけないと思うと、ため息が出るが、しばらく休憩し体力と気力を入れなおし下山。
 登りで一番文句をいっていたa-koさんは、飛ぶように降りてしまった。あの山頂直下の登りを体験すると、大倉乗越は思っていたほどでもなく、乗り越えられた。
 黒沢池ヒュッテに着き、もう一度ポカリスエットを買った。汗をたくさんかく時は水よりスポーツドリンクの方が吸収もいいし、栄養や塩分補給にもなる。
 妙高山頂2454m    
小屋のメンバーは総入れ替えになっていて、朝とは違いとても親切な人たちだった。私たちともいろいろおしゃべりをし、珍しい小屋の造りを見学までさせてくれた。ドームになった天井からは星が見え、朝食には焼きたてパンや、クレープ出ると聞き、次回はぜひ泊まってみたいと、皆の意見もころっと変わった。  
 お土産に絵葉書セットまで頂き、好印象のうちに小屋を後にした。 
 富士見平までは黒沢池湿原を抜けていく。ここが思っていた以上によいところで、静かで花もたくさんあった。ゆっくりと木道を歩き、ワタスゲクルマユリチングルマハクサンフウロなど次々現れる花に疲れも飛んだ。
 尾瀬にも負けない広くてよい湿原だった。 黒沢池湿原 
 最後の沢を渡ると富士見平までは緩やかな上りになる。小屋で予定よりゆっくりしたので、笹ヶ峰到着は4時過ぎになった。とてもきつい山で、久々に重いザックも大変だったが、1泊2日で火打・妙高と2つの山に登頂でき充実した山行になった。

―火打・妙高山の花(画像クリックすると拡大します)―

タテヤマウツボグサ オオバミゾホオズキ ハクサンフウロ モミジカラマツ クルマユリ
コイワカガミ エゾシオガマ ヤマオダマキ ミヤマキンバイ ウサギギク
ミョウコウトリカブト ハクサンコザクラ ヨツバシオガマ キヌガサソウ ハクサンオミナエシ
 8月2日(火)    
 宿の窓から真正面に妙高山が見える。今朝はよい天気で雲ひとつない。歩いてすぐのところにイモリ池があり、そこはハスの花妙高山が逆さに写る池で有名なところだそうだ。朝食前に私たちも早速出かけた。  
 静かな湖面にははっきりと妙高が写る。朝早いのでハスの花も見事に咲いていた。
     イモリ池の逆さ妙高山とハス
   ここまできたらぜひ燕温泉に入って帰りたいという、温泉好きの友人の言葉に立ち寄ってみることにした。燕温泉は妙高山登山口にもなっている。
 あいにく河原の温泉は工事中で行かれず、黄金の湯に入ることにした。燕温泉街から少しはずれ、山のほうに登ったところにあった。着替えるところはあるものの、あとは岩で囲まれた温泉があるだけで何にもなかった。他には誰もいないので、青空の下で楽しんだ。
 燕温泉”黄金の湯”