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淀川小屋までは緩やかなアップダウンを繰り返し、原生林の森を行く。屋久島は海岸沿いは亜熱帯、山頂部は亜寒帯と植物相は変化に富んでいる。淀川登山口は1370mもあるので、早くも巨木のスギ、ツガ、モミ、ヒメシャラなどの針葉樹林帯になる。着生植物のヤマグルマなども多い。なんだかわくわくしてくる。 |
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40分ほどで小屋に着いた。そこで夕べ泊まったというご夫婦と話した。二人合わせて140歳だという。私達もそうありたいと話しながら、静かに流れる淀川を渡る。 |
淀川小屋 |
橋を渡ると階段の上りが待っていた。 |
原生林 |
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しばらくは上りが続く。登りの途中に高盤岳の展望台があった。確か前にも、ここで眺めた記憶があった。少し開けたところに上ると、目の前に高盤岳がよく見える。別名トーフ岩とも言われているが、豆腐よりフランスパンを切った形によく似ていると思う。 |
私達のペースは遅いらしく、どんどん抜かれていくが、マイペースを保つ。長いのであめやチョコレートを口にしながら、水分補給をこまめにし、小休止をとりながら、ほとんど腰をおろして休むことはしなかった。どっかり腰をおろしてしまうと立ち上がれなくなりそうだった。 |
淀川(よどごう) |
高盤岳(トーフ岩)画像クリックで拡大 |
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急な下りになった。予定通りに花之江河に着く頃だった。何か記憶とちょっと違う。ここは小花之江河だった。もう一度上り、まただいぶ下って、やっと花之江河に着いた。以前と変わらず、美しい日本庭園のような高層湿原が広がっていた。予定より20分ほど遅れていた。 |
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行く前にコージツの店長に、黒味岳がおすすめなのでぜひ登るといいといわれたが、私達の体力では宮之浦岳で限界だった。分岐には大きなザックが置いてあった。往復1時間なので、元気な人は登っているようだった。 |
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黒味岳分岐 |
花之江河(はなのえごう) |
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2箇所鎖場を上り下りするところがあり、投石湿原に着く。小さなピンクの花が咲いていた。あせびは満開だが、期待のシャクナゲはまだ咲いていない。やはり5月末だそうだ。 |
この辺りから、登山道の石の上を水が流れているところが多い。投石平まではひと登りでだった。 |
景色が一変し、大きな岩がごろごろとある。周りの山々も、あちこちに屋久島花崗岩と呼ばれている巨大な岩が見られるようになった。森林限界となり、大きな木はなくなり、ほとんど屋久島ザサに覆われている。 |
投石平(なげしだいら) |
鎖場1 |
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岩のオブジェ・・・スライム、ロボット、モアイ像、ダンゴムシ???(画像クリックで拡大) |
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上ったり下ったりが多く、最後の登りと思われる急斜面を人が豆粒のように登っていく。(実は最後ではなかった) |
高所にしか咲かないヤクシマシャクナゲはとても多く、見頃のときに登ったらさぞかし素敵だと思う。でも、今年ははずれ年なのかつぼみがとても少ない。 |
栗生岳にたどり着いたとき下ってきた人が、もうすぐですよ。と元気付けてくれた。でも、山頂は見えない。はるか向こうに永田岳のようなギザギザした山容の山が見えた。それにしても長い道のりだった。 |
山頂に向かう人達と追い抜かれたり、追い越したりと、うさぎとかめのようだ。 |
栗生岳(くりおだけ)1867m(黄色の点はクマさん) |
最後の登り(ピンクの点が私) |
時々薄日が差したが今日は曇り。でも暑くなくてちょうどよかった。前のときは4月半ばだったが、晴れて暑く、皮膚の皮がむけてしまったほどだった。 |
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上り5時間、11時40分宮之浦岳登頂。島の中心に位置するので、連なる山並み、深い森、島中の山が見渡せる。山頂は岩だらけだが、ここから見る風景は緑のじゅうたんのように広がっている。風が気持ちよい。 |
山頂は携帯が使え、友人にヤッホーメールを送る。 |
下山の長い行程を考え、お弁当を食べて早めに下ることにした。投石平付近で、雨がポツポツきたがたいしたことなくやんだ。 |
永田岳1886m |
宮之浦岳1936m |
やっとのことで淀川小屋が見えたときはほっとした。 |
往復10時間。長い行程だったが、天気も崩れず無事下山でき本当によかった。変化に富んだ美しい山と原生林の中、充実の山歩きが出来た。 |
私は、くたくたに疲れ車に乗るなり寝てしまった。途中で道端にヤクサルがいると起こされた。ずっと運転していたクマさんは、今夜は島の料理を食べに行こうと元気だ。私は疲れすぎて食欲もなかったが、お風呂で汗を流したら、少し元気を取り戻し、近くの寿司屋へ行くことにした。地魚のお寿司がとってもおいしく、食欲がないと言っていたのに、ペロッと食べてあきれられた。地元のお寿司屋さんとの話も聞けたし、行ってよかった。 |