6月7日(火) |
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近露から熊野本宮大社へ |
今日は見どころも多く、草鞋峠、岩神峠、三越峠と急峻な奥熊野へと分け入り、熊野本宮大社を目指す。 |
小雨降る中、近露を出発する。集落のはずれに野長瀬一族の墓がある。 |
山腹を進み、比曽原王子跡へ。 |
近露分岐 |
芝生の小学校 |
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雨に煙る熊野の山々 |
野中の一方杉(継桜王子) |
野中の清水(名水百選) |
この辺りは訪れる人も多いのか、歩道も整備され歩きやすくなっている。 |
枝が一斉に南を向いた野中の一方杉で知られる、継桜王子社があり、その先には茅葺屋根のとがの木茶屋がある。王子社の下には、名水百選の野中の清水が湧いている。 |
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秀衡桜が大きく枝を広げる。 |
和歌山朝日夕日百選に選ばれたのもこの地だが、あいにくの雨で展望はない。 |
立派なトイレ |
とがの木茶屋 |
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安倍晴明の腰かけ石に座ると、道中無事に歩けると宿のご主人に聞いたので、私達も腰かけてみた。 |
坂の途中には中川王子跡がある。小広王子は、林道が交差する。 |
安倍晴明腰かけ石 |
小広王子跡 |
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小広峠を越え、中腹の熊瀬川王子を過ぎると、中辺路で一番険しい草鞋峠にかかる。 |
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急坂が始まる |
熊瀬川王子 |
幸い雨は上がってきた。暑くも寒くもなく歩きやすい。 |
険しい登り |
それにしても杉やヒノキの植林が多い。手入れはされているので、奥多摩のように暗くはないが。 |
普段山歩きをしているので、これくらいの登りは、むしろ平らな舗装路に比べたらずっと歩きやすい。 |
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足のまめも昨日よりよさそうだ。 |
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上からスッーと冷たい風が流れてきた。草鞋峠に着く。昔の人がここで、草鞋を履き替えたと言われる。 |
ここから女坂。つづら折りの急な下り。 |
草鞋峠(592m) |
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女坂下る |
女坂を下ると、谷川が流れ、小広くなったところが仲人茶屋跡。その先に男坂の急な登りが待っている。対で、夫婦坂と呼ばれ、谷間にあったので、仲人茶屋だそうだ。 |
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昔の人もユーモラスな人がいたものだ。 |
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仲人茶屋跡 |
男坂急登 |
中辺路はあまり標高が高くないが、それでもこの辺りは深い森の中なので、雑音は全く聞こえなくなった。風の音と、鳥のさえずりだけだった。 |
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深い森 |
岩神王子 |
林道交差 |
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谷川の水音。沢沿いに下るとおぎん地蔵があった。おぎんは、京の芸子で、湯川の婚約者のもとへ行く目前で山賊に殺されてしまったという悲話が残る。 |
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何度も谷川を渡るが、古い橋は架け替えられ、崩れたところは補修され整備が行きとどいていた。 |
谷川を渡る |
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おぎん地蔵 |
新緑の中に、ヤマツツジが鮮やかに咲いていた。 |
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湯川川を渡る |
湯川一族の地 |
湯川王子 |
湯川川を渡ると、平で広い所に出た。石垣も残り、明らかに住居跡のようだ。江戸時代には、湯川一族という豪族が暮らし、多くの民家や茶屋があったそうだ。往時が偲ばれるようだ。その先に湯川王子跡がある。 |
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再び急坂を登り、関所があった三越峠へ着いた。ここは休憩舎があるから雨でも大丈夫と聞いていたので、お昼はここにしようと決めていた。 |
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もう、12時をだいぶ回っている。 |
三越峠休憩舎 |
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月の家のお弁当(めはり寿司、黄粉おはぎ) |
きれいな休憩舎でお弁当を広げしばし休憩。めはり寿司ときなこおはぎが甘くて美味しい。 |
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階段の急な下りが続く。道はだんだん広くなり、本宮へと注ぐ音無川源流沿いに歩く。 |
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船玉神社手前に、赤木越の起点になる赤い橋があった。最初の計画ではここより、湯の峰温泉へ行くはずだった。今回は助言通り、真っすぐ本宮へ向かうことにした。 |
ヤマツツジとウツギ満開 |
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赤木越起点 |
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船玉神社 |
猪鼻王子跡 |
たっくん坂急登(中辺路№61) |
船玉神社、猪鼻王子跡と過ぎ、たっくん坂の急坂を登れば、いよいよ本宮聖域の入口、発心門王子に着く。 |
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私達も門を潜るとき、ザックを下ろし、帽子を取り、手を合わせた。 |
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発心門王子へ |
発心門王子社 |
あと残すところ2時間。暖かいココアを作り、チーズ蒸しパンを食べて元気をつける。休んでいたら、雨が落ちてきた。水呑王子までは、舗装道路をを歩く。 |
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クマさんアクシデント |
舗装路を歩き始めたら、クマさんが膝が痛いという。3日間歩き過ぎたのかもしれない。 |
この山中では、バスもなく、タクシーも来ない。何とか頑張れるか。ゆっくり行くことにした。 |
里の田園風景 |
のどかな人形がカタンコトン |
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最悪の時は、500mごとの番号道標に緊急連絡先が書いてある。少し安心だ。 |
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小さな分校跡の片隅にある水呑王子跡を過ぎると、目の前には雄大な果無山脈と百前の森。 |
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ヒメサユリの保護地だそうだが、残念ながらまだ蕾だった。 |
百前の森 |
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伏拝王子跡 |
伏拝王子は、ここより本宮の旧大社大斎原(おおゆのはら)を望むことが出来、感激のあまり、地面にひれ伏し拝んだそうだ。現在は、木が大きくなり過ぎ見ることはできない。 |
去年小辺路を歩いた時、合流した三軒茶屋跡に着いた。見覚えがある。 |
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森の香り |
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いよいよ本宮の森に入ると、爽やかな良い香りがする。これが本物の、森の香りなのかもしれない。深呼吸してみる。 |
最後の番号道標は祓所王子跡で№75になった。 |
三軒茶屋跡 |
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祓所王子跡(本宮への最後の王子) |
祓所王子で、身だしなみを整えいよいよゴール。 |
後ろから来た軽装の女性たちにも追い越され、熊野本宮大社にたどり着いた時は、社務所も閉まり人気はなかった。一時はどうなる事かと思ったが、到着できほっとした。 |
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バスもタクシーもない! |
なんとか無事到着し、感謝の参拝を済ませた。 |
門前に出ると、バスもタクシーもない。タクシーを呼ぼうとしたが、来られないという。 |
熊野本宮大社 |
人っ子ひとりいない境内 |
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あとで聞くと、タクシーは新宮から1時間以上かかるので、呼んでもまず来ないそうだ。 |
途中で、バスに間に合わないかもしれないが、タクシーで行けばいいと思っていた。去年、門前にはタクシーが並んでいたが、お客がいないところにタクシーはないのだった。ここは都会ではなかった。 |
雨はショボショボ降っている。飲食店も全部閉まっている。仕方なく、缶コーヒーを飲みながら、最終バスまで1時間以上待つことにした。でもこれも、絶対に忘れない良い思い出になるでしょう。 |
昔、熊野へ詣でたら不思議な力が授かる。その道のりは苦しみが多いほど御利益も大きい。と、田辺より山中に入る険しい中辺路を好んだそうだ。 私達も試されていたのかもしれない。 |
バスで湯ノ峰温泉に着いたのは7時半になっていた。 |