平成19年8月19日(日) |
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快晴 |
朝4時半起床。朝から雲ひとつない。目の前の槍・穂高のギザギザの稜線が、黒々とくっきり見える。 |
朝食後、槍の後から光が放射状に伸びてきた。だんだん明るくなり、鏡池はその名の通り、波一つない静かな湖面は青い鏡のようだ。徐々に周りの景色を映し出していく。皆、ドラマティックな瞬間をカメラに収めようと、息もつかずに見守る。 |
早朝の鏡池と穂高岳 |
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昨日の様子では予定より時間がかかりそうだと、少し早めの6時10分出発。 |
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小屋から見上げる稜線は、かなり急登のようだ。弓折岳分岐まで1時間登る。 |
槍・穂高をずっと眺めながら、高度を上げると、眼下には赤い屋根の鏡池小屋、二つの池が光を反射している。遠く雲の上には乗鞍岳も顔を出している。 |
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弓折岳分岐へ |
雲の上には乗鞍岳 |
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この辺りは、ニッコウキスゲ、ミソガワソウ、クルマユリ、オニシモツケ、オタカラコウなどのお花畑が続く。 |
下ってきた男性が、「今年の花は2週間遅いようだ。折立方面から来たが、稜線はすごい花畑だよ。」と教えてくれた。 |
私も、あこがれの雲平にいつか行けるかしら・・・ |
分岐につくと、まだチングルマやハクサンイチゲが見られた。ここから双六岳方面、笠ヶ岳へと分かれる。 |
穂高をバックにトリカブト咲く |
弓折岳分岐 |
(笠ヶ岳の花畑はこちら〉 |
雪渓がある弓折岳山頂は、広々として気持ちのよい場所だ。双六岳、その奥には薬師岳方面の眺めもよい。 |
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黒部五郎岳は恐竜の背ような姿で横たわっている。 |
今日も特急チャーリーが先行し、小屋の予約変更をしてもらい、体力の心配なtamiさんにはリーダーのゆーちゃんが常について歩くことになった。 |
いったん大ノマ乗越までは下り、そこから大ノマ岳へと登り返す。ハイマツとお花畑が広がる。 |
大ノマ岳は狭く、団体さんでいっぱいになった。 |
弓折岳2588m |
双六岳とU字谷の間には双六小屋が見える |
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時々見えていたチャーリーの姿は、もうすっかり見えなくなった。 |
秩父平への下りは、左側が切れ落ちたガレ場や、細い岩場があったりと要注意の個所がいくつかあった。 |
秩父平は美しいカールが広がり、雪渓とお花畑の素晴らしいところだった。広く平らで、大きな岩もあり休憩にはちょうどよい。小屋を出てから3時間半余り。後続隊を待って大休止となる。 |
秩父平(画像クリックで拡大) |
日差しをさえぎるものもなく、私は心配していた頭痛の気配。でも、まだ食欲はある。十分水分も補給した。また冷えピタシートのお世話になる。 |
稜線に出たが、笠ヶ岳は雲の中で見えない。 |
進むに連れ雲が切れ、手前に小笠を従え、笠ヶ岳がすっかり姿を現す。 |
ここからは稜線を目指し、大きな登りが待っていた。 |
大ノマ乗越より稜線を分けて雲が湧く |
クルマユリの群落も見られる。 |
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深い谷を隔てた向こう側には、槍から穂高に続く3000mの山なみが大自然の壁を作る。息を呑むような景色だ。でも先は長そうだ。 |
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気持ちのよい稜線歩きだが、思った以上にアップダウンが多く、私の頭痛は少しずつ増してきた。冷えピタシートをおでこにも貼った。恥も外聞もない。 |
お昼近くになり、雲もだいぶあがってきた。 |
元気なリーダーだけが抜戸岳に登る。 |
笠新道分岐を過ぎ、抜きつ抜かれつしていた9人の団体さんが休憩している。 |
チングルマ |
あれが笠ヶ岳よ! |
私達もここで最後の大休止。20分以上休む。tamiさんは疲労がピークに達し、私は日射病のようで、吐き気までしてきた。食べ物はのどを通らず、水も飲めない。ここからまだ1時間以上はかかる。なんとしてでも頑張らねば。(山でなければとっくに音を上げている) |
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雷だ〜 |
スタートしてまもなく、黒い雲が多くなってきた。どこからか雷鳴も聞こえる。先を行く9人グループのスピードが上がり、どんどん離されていく。 |
笠ヶ岳山荘夕食 |
抜戸岩を通過した辺りから、雨がポツポツ落ちてきた。 |
この日も個室が確保出来たので、小屋に着くなり私とtamiさんは横になった。そのおかげで、夕食までにはすっかりよくなった。 |
雷も近くなってきた。 |
抜戸岩 |
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「このメンバーではスピードアップはできそうにない。レインウェアを着て、いざと言うときはハイマツの中に伏せよう」とリーダーの素早い判断 |
幸い、雨もほんの一時で、雷も遠ざかっていった。 |
空が明るくなり、レインウェアも脱ぎ、テント場からは岩場を一登りでやっと笠ヶ岳山荘到着。最後の1時間がとても長く辛かった。 |
2時間も前に着いたチャーリーは、心配しながらこの一部始終を、テラスの望遠鏡で見ていたそうだ。 |
一休みしたあと、他のメンバーは笠ヶ岳山頂を踏んできたそうだ。でもあいにく、雲に隠れ展望はなかったようだ。 |
スーパーおばあちゃんの話(チャーリーによる) |
満天の☆空 |
30代の男の孫を従えた(連れられてではない)72歳のおばあちゃんは、お昼頃小屋に着くなり「牛丼〜!スイカもつけて!」と注文。話を聞くと、笠新道を登り、山頂の祠にお参りをし、なんと日帰り!そして、また笠新道を下るのだそうだ。ふもとで1泊かと思いきや、「今日家に帰るのよ」と元気過ぎ。近くの神社にでも行くような勢いだったそうだ。 |
夜中の3時半頃目がさめたので外に出てみた。真っ暗な空一面に☆が輝いている。ひしめき合うほどの☆☆☆・・・。こんなにたくさんの☆を見たのは何年ぶりか。そして時折、遠くの山の際を稲妻が走る。稲光が下に見える。あんなに怖い雷も、遠くだと花火のようできれいだった。 |