8月に大きな山行計画があり、これからは毎月トレーニングをしようと決めた。 |
オープン戦は、こんなことでもなければきっと行かなかった戸倉三山にした。 |
戸倉三山とは秋川の支流、盆掘川をU字型に取り囲む『刈寄山』『市道山』『臼杵山』の通称で、展望もなく、コースがかなりハードで、案内書によると健脚向きだそうだ。 |
三山を一気に歩くとなると、時間もかかり、少し心配だったが、何箇所かエスケープルートもあるというので、やっと日が長くなってきたこの時期を選んだ。 |
私たちも歩いてみた調子で、誰かがバテたり、天候の急変があったりしたら、三山にこだわらず途中でやめようと話し合っていた。 |
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八王子に住んでいても知らなかったが、八王子からはバスが出ていた。 |
今熊バス停でクラと待ち合わせた。登山口の稲荷神社は出雲大社のミニチュアのような立派な造りだった。長い山行の無事をお願いして、神社の横の道を歩き始めた。 |
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登山口の稲荷神社 |
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今熊山には今熊神社があるため、その参道にもなっている道はよく整備されていた。 |
30分ほど登るとトイレがあった。最後の階段を登りきると、コンクリート製の社があり、ここからは五日市や八王子の町並みが望める。 |
今日は朝から曇りで、あまり展望はよくない。 |
今熊山 |
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刈寄せ山へ向かって歩いていると、左側の山肌が大きく削られ、大規模な採石場となっていた。 |
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この辺りの登山道は最近”奥多摩耐久レース”のコースになっていて、道路標識は整っていた。 |
そして、左側の樹木だけ立ち枯れが目立った。ガラガラと作業する音やエンジン音が、山の静寂を破る。 |
最近全国規模になってきているらしいが、こんな険しい道を、夜通し走るなんてすごい人たちがいるものだ。 |
サンシュウの黄色い花が所々で目を引いた。 |
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最後の急登を登りきると刈寄山に到着。山頂は広く、東屋があった。まだ1/3も歩いていないため、水分とパンなどを補給し中休止した。 |
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サンシュウ |
刈寄山 |
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ここからは峰見通りという尾根歩きだが、地図で見ると往路・復路とも同時間になってた。そこで私たちは甘く見ていたが、そんなことは全くなく、うんざりするほどのアップダウンが現れる。 |
全く静かな山で、今まで人に会うこともなかったが、恩方の関場から来たという男性が汗びっしょりで登ってきた。歩いていると暑いが、少し休むと急激に冷える。日が出ていないので、気温は低いようだ。 |
入山峠へ向かう |
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最初、トレーニングだからと、あえて急登を選んでいたが、あまりにも続くピークにだんだん嫌気がさしてきた。先頭のクラがニヤッとしながらストックを倒し「こっちへ進めって言っている」とわざと巻き道を選んだ。鉄人クラも疲れているんだと、少し安心。 |
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時々木々の間から、人目でそれとわかる奥多摩の大岳山・御岳山などが見えた。 |
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連続するアップダウン |
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左の写真のように登山道に沿って、ペンキ印がついていたが、紛らわしいところもあった。ほとんど人が歩いていないようで、先に歩くクラはクモの巣を払いながら行くようだった。 |
2時間あまり歩いたが、まだ入山峠の分岐にも出ない。そろそろエネルギー切れになってきた。 |
登山学校で学んだ教訓を思い、無理をしないでおにぎりを食べることにした。今回は長い行程のため、最初からゆっくりランチを取れないと考えていたので、皆少しずつ食べられるように、小分けしていた。 |
杉林のペンキ印 |
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一息つき、歩き始めたら、何のことはない1〜2分下ったところが入山峠分岐だった。 |
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そこから一登りで、市道山へ到着。ここでやっと2/3位歩いたことになる。 |
記念撮影をしていたら、今日2人目の登山者が登ってきた。話したくもないのか、すぐに離れたところでお弁当を食べ始めた。 |
市道山からの下りがまた大変で、このルート一番の急登だった。 |
木の根が階段のように続き、気が抜けない。 |
市道山 |
今までの長くきついアップダウンを歩き通すと、もう多少のことではへこたれなくなってきた。 |
今までの二山とは山容がまるで違ってきた。木の種類も違うし、山が明るい雰囲気になってきた。 |
臼杵山へ着いたらゆっくり腰を下ろして、お茶にしよう。と言っていたが、雨が落ちてきてしまった。 |
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三山目の臼杵山は南峰と北峰に別れていた。北峰には小さな祠がある。 |
グミ尾根を下るつもりだったが、雨が降ってきたので、少しでも早い元郷へと下ることにした。 |
途中の送電塔を過ぎた辺りから道を間違えたかと思うような、荒れた道になった。 |
あとで思えば、行政の違いかあの辺りから檜原村の管轄になったようだった。バス停に着く頃には雨も上がり、とうとう8時間腰を下ろして休むことなく歩きとおしてしまった。 |
臼杵山 |
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クラが「戸倉三山は、日原から登る鷹ノ巣山よりきついね。ここを歩ければ、鷹ノ巣山なんて軽いかもよ。」と言う。まだ山歩きをはじめたばかりの頃、鷹ノ巣山へ行ったが、私は今まで歩いた山で一番きつかった記憶がある。 |
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戸倉三山は行程は長く、狭く切れ落ちた道、滑りやすい急登、数え切れないアップダウンの連続など緊張の連続で、集中が途切れないように歩くことで精一杯だった。 |
Junjunが「何度も一緒に歩き、気心が知れた友達なので、皆も集中して歩いているのがわかるし、これくらいならまだ大丈夫と確信できたし安心だった」と、後日言っていた。 |
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臼杵山南峰 |
長くきつい山行になるほど、一緒に歩くメンバーの影響は大きいように思う。そして、解りあえた仲間がいるからこそ歩けるので、一人ではとても出来ないことだ。何もない山だったし、私は2〜3日筋肉痛だったが、爽やかでとても充実した山行となった。 |