しりべしやまへ |
 |
札幌に住む娘夫婦のところに行くので、1日は、私の誕生日記念に羊蹄山に登ることにした。6月13日が山開きだったそうだ。 |
蝦夷富士とか、簡単に羊蹄山と呼ばれているが、本当は後方羊蹄山(しりべしやま)という。天気予報などでは、後志(しりべし)になっていた。 |
羽田を7時25分に出て、札幌経由でその日のうちにニセコに向かった。一緒の飛行機だったグループが、今日ニセコアンヌプリに登り、明日は羊蹄山に登ると言っていた。どこかで会うかもしれない。 |
倶知安まで来ると、富士山にそっくりな独立峰が現れた。まだだいぶ雪渓も残り、どーんとそびえる山に圧倒され、登れるか本気で心配になった。 |
後方羊蹄山(京極より) |
|
倶知安(ひらふ)コースを行く |
この時期北海道は朝4時には明るくなり、夜は8時頃まで明るいので、登山をするには好都合だ。4時起きで、バナナを食べて、ひらふ登山口へ向かう。 |
羊蹄山は、富士山5合目からの登山とそっくりだそうで、標高差も富士山(5合目より)が1406m、羊蹄山は1548mある。だが、富士山は5合目以上に山小屋がたくさんあり、水や食料の補給もできるが、羊蹄山は、避難小屋があるだけで、基本的には日帰りで往復登山をしなくてはならない。 |
kumaさんとは、無理をせずに、だめだったら途中で引き返そう。と話したが、私は密かに”絶対登る!”と心に決めていた。 |
半月湖先の駐車場には、早朝にかかわらず、すでに到着している人達や、ここで全泊した人達で賑わっていた。 |
登山届提出 |
雨のちブヨ |
 |
皆、長丁場なので、早朝出発で、余裕のあるスケジュールを立てているようだ。 |
爽やかなよい天気だが、頭上にある黒い雲が気にかかる。クマよけベルをつけ、森の中へと入っていく。 |
最初は緩やかに、針葉樹林帯を行く。足元には、サイハイランがたくさん咲いていた。 |
やっぱり降ってきた。最初は森の中なので、あまり濡れないが、傾斜が急になる手前で雨具を着た。幸い雨は30分程度で止み、日が射してきた。2合目に着いたところで、雨具を脱ぐ。皆、ここで一休みしている。 |
雨が上がったら、急に虫が多くなってきた。休むと、まとわりついてくるのには閉口した。長袖のシャツの上からも刺され、帰京してからいつまでも痒かった。 |
2合目 |
雲海に浮かぶニセコアンヌプリ |
 |
合目ごとに、少し広くなった休憩場所がある。4合目までは100mごとに、それ以上は200mごとになっている。私たちもそれに合わせ、水分補給と休憩をとった。 |
道は標高500mを過ぎたあたりから、山頂までず~っと30度級のジグザグ急斜面になる。 |
傾斜が増すと、展望が開け、雲海の中にニセコアンヌプリが浮かんでいる。昔、あの山のふもとで、でスキーをしたことがあったけ。 |
エンレイソウやサンカヨウは、この辺りではもう実になっている。 |
標高が上がり、エゾマツやダケカンバ帯になった。 |
ニセコアンヌプリ |
|
 |
6合目(ダケカンバ帯) |
えぐれている登山道(5~6合目) |
 |
なぜか東京の人ばかり |
登りながらいろいろな人と話したが、なぜか東京か、関東の人ばかりだ。北海道の人は登らないのだろうか。なんと、こんなところで同じ八王子の人とも会った。 |
国分寺から来たという男性は、会社が不況で金曜日も休みになりやって来たのだと、ちょっと深刻な話をしてくれた。 そして、○○富士と付く山に登っているそうだ。そういう登り方もあることを知った。 |
見晴らしのよい6合目でゆっくり休憩をとった。アンヌプリもだいぶ下のほうに見える。やっと半分。まだまだ先は長い。 |
遥か下方にニセコアンヌプリ |
しばらくは、ただひたすら 登る。 |
♫ シラネアオイ大群落 ♪ |
|
8合目を過ぎると、シラネアオイがあった!と喜んでいたら、そこより上は、シラネアオイの花園。ダケカンバの中にず~っと奥の方まで咲いている。花も大きく、見事だ。 |
こんなにすごい群落を見たことがない。今まで見た山では、やっと一株か、二株、それも花は少なかった。 |
急斜面続きで、かなりきつく、だいぶへばっていたので、この出会いは、元気を取り戻す。 |
ここからは、雪渓が残っているところもあり、融けたばかりのところには、エンレイソウ、エゾエンゴサク、サンカヨウなどたくさんの高山植物が見られた。 |
9合目からは山容が少し変わり、ハイマツ帯になった。 |
シラネアオイ |
 |
|
9合目(やっと、やっと辿り着いた!眼下には半月湖も見える) |
 |
|
まだまだ続くシラネアオイの花園 |
山頂は近い(ハイマツ帯) |
 |
大火口(父釜) |
9合目からは傾斜が緩み、30分ほどで大火口壁に出る。お花畑探勝ルートの北山経由で行くと、ハイマツ帯の中に、シラネアオイ、キバナシャクナゲ、コケモモ、エゾノツガザクラ、メアカンキンバイ、ハクサンチドリ・・・次々に目を楽しませてくれる。キバナシャクナゲと、メアカンキンバイは大群落を作っていた。羊蹄山の花はこちらへ。 |
火口壁に出ると、周りにはまだだいぶ残雪もあり、底の方は水が溜まっていた。ぐるっと一周見渡すと、一番大きい父釜、母釜、子釜があり、時計回りに山頂を目指す。 |
この火口巡りは、大展望と花いっぱいの楽しいコースだ。 |
風が強いが、寒くはなく上着を着る必要もなく、ちょうど良い。 |
火口壁に着く |
|
|
 |
キバナシャクナゲ |
メアカンキンバイ |
 |
|
山頂に向け火口壁を歩く |
父釜(山頂より) |
大展望の羊蹄山山頂 |
|
花を楽しみながら、緩やかなアップダウンを繰り返し、岩のゴロゴロしたところを上がると後方羊蹄山山頂に着く。ちょうど半周したところになる。 |
360度の展望で、雲がプカプカ浮かび、眼下にはニセコ山系を一望できる。 |
登山口を5時過ぎに出発し、5時間半余りかかった。この雄大な景色を見ると、満足感でいっぱいになり、大変だったことは一時忘れてしまう。 |
ランチと展望を楽しみ、避難小屋経由で下ることにした。 |
今までと違い、岩場の多いルートになった。 |
賑わう後方羊蹄山(1898m)山頂 |
 |
 |
途中からは洞爺湖も見えた。 |
避難小屋に寄ると、まっすぐ9合目に向かうより30分余計かかるが、トイレを借りるためそのルートを下ることにした。 |
火口壁の残りの半周は、岩場が多く気が抜けない |
|
|
真狩コース、避難小屋分岐 |
羊蹄山避難小屋(管理人在中) |
 |
 |
ナナカマドとチシマザクラあ(小屋付近) |
小屋近くの雪渓 |
あ~~疲れた |
 |
避難小屋は、管理人が在中し中もきれいになっていた。雪渓のある時期はまだ水の確保ができるが、あと1週間もすればそれもなくなり、雨水に頼るだけだそうだ。 |
気になっていたヒグマのことを聞くと、羊蹄山は、独立峰で水がないため、クマはほとんどでないそうだ。安心した。 |
靴紐を締め直し、ウィダーインゼリーを飲み、長い下りにかかる。合目ごとに休みをとるが、体力があるうちはよかったが、7合目くらいから次の合目がとても長く感じられた。 |
6合目であった若者グループは、今日初めて北海道の人たちだった。避難小屋泊まりだそうで、大きなザックを背負っていた。 |
登山口駐車場(トイレ、水場あり) |
だんだん足にきて、少し多く休みを取り、転ばないように 注意しながら、やっとのことで駐車場に着いた。車はだいぶ少なくなっていた。行程は10時間45分もかかった。でも、無事に登れ、達成感いっぱいの気持のよい疲れになった。 |
京極温泉で、露天風呂から羊蹄山を眺め、 ゆっくり温泉に浸かった。一路札幌へ。 |
関東は梅雨の時期だが、北海道はからっとした晴天で、とても涼しかった。羊蹄山は、これから7月いっぱいは高山植物が楽しめるそうだ。 |