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アカヤシオ咲く岩峰へ |
2003年、2004年と友人夫妻が登ってきた両神山は、いつも頭の隅っこにありずっと憧れの山だった。 |
あのギザギザの岩屏風のような山は秩父方面に行くとすぐにそれとわかる。きつい山という二人の報告と、鎖場連続に躊躇していたくまさんもやっとその気になったので、アカヤシオとニリンソウの大群落が見られるゴールデンウィークに行くことにした。 |
両神山へのルートは、日向大谷コースと八丁峠からの上級コース、それに白井差(しろいさす)コースの3本だったが、ご存知のとおり白井差コースは私有地問題などで2000年から閉鎖になってしまった。私たちは一般的な日向大谷コースで登る。 |
日向大谷登山口 |
最近開通した圏央道あきる野ICを初通過。 |
途中のSAで朝食にしようと思ったら、持ってきたはずのサンドウィッチがない!家に置き忘れたようだ。 一緒に入れておいたサプリメントもない!最近きつい山はサプリメントを利用しているのに、これは自力で登るしかない。 |
混雑もなく6時45分に日向大谷駐車場に到着。 |
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早いと思っていたのに、さすがにゴールデンウィークはもう大勢の人が来ている。かろうじて第3駐車場に停めることが出来た。 |
第3駐車場から登山口までは10分ほど歩き、そこからものすごく急な階段を登る。このあたりの斜面には両神山荘など数件の民宿もある。
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登山口にはトイレや水道もあった。 |
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レンゲツツジ |
日向大谷の里はヤマブキやレンゲツツジ、八重桜、モモなどがいっせいに咲き、山頂付近はピンク色のアカヤシオと思われる花が岩稜を彩る様子が見える。登る前からワクワクしてくる。 |
私の持っているガイドブックは白井差コースなので、去年行った友人の詳しいコースタイムがとても参考になった。 |
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最初は長い沢沿いに緩やかに登る。ぶなの多い森は、みずみずしい若葉と清らかな流れに心も洗われるようだ。
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険しい岩峰なので、昔から修験の道場になっていたそうで、江戸時代には300以上の石神や石祠があったといわれ、今でも登山道脇には多くの石の神仏像が残る。 |
会所まではウォーミングアップにちょうどよい登りで呼吸も楽だ。 |
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石仏 |
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渡渉を繰り返すうちにどんどん傾斜が増し、きつくなってきた。日向大谷から標高差1100m近くある。 |
でも、以外にもたくさんの花が咲いている。他の登山者に花の名前を教わったり教えたり、きつい登りもあまり辛くない。 |
やっと1/3 |
くまさんはきつくて写真どころじゃないと、カメラはしまったままだった。 |
私もいつもならゼイゼイ、ハーハ-登るのに、今回は不思議と体が軽い。サプリメントも飲まなかったのになぜなのか?今年は冬は低山歩き、3月、4月は丹沢へ登ったのがよかったのかもしれない。 |
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それときつい山というイメージトレーニングが出来ていたからか、やっぱり覚悟があるとないとでは大違い。体に余裕があると、楽しんで登れると実感。 |
ニリンソウが現れ始めた。 |
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新緑と沢 |
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でも友達二人から大群落と聞いていたので、こんなものではないはずと思い我慢して登っていると、標高1000mを越えた頃から斜面いっぱいのニリンソウ。 |
こんなに群生しているのは見たことがない。朝が早いのでまだ開ききっていない。愛らしい花に、くまさんもここではじめてカメラを出した。ここから清滝小屋の周辺までは右も左もニリンソウの大群落だった。 |
ニリンソウ群生(クリックで拡大) |
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植生が変わり、あの懐かしいアオモリトドマツの匂いがした。 |
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小屋の手前に弘法の井戸という水場がある。冷たい水に生き返り一休みした。あと一登りで清滝小屋だ。 |
こいのぼりと吹流しが見えた。小屋到着は9時。歩き始めて2時間。清滝小屋は立派なログハウス風でベンチには大勢の人が休んでいた。私たちもはじめての中休止。ここでやっと2/3くらい歩いたことになる。この先が問題の岩場だ。 |
清滝小屋の後からまた急登が続く。 |
清滝小屋 |
30分ほどすると尾根に出た。尾根からは向かいに両神山頂が見えた。思わず記念写真を撮る。山頂には人らしき姿が見える。 |
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鎖場が連続 |
さっきシャッターを押してあげた夫婦が先に登った。ちょっとどきどきする。最初の岩場は足場がしっかりしていて、登りやすい。くまさんも心配するほどのことはなくクリア。 |
2つ目、3つ目の岩場も切れ落ちているようなところではなく、登りやすく鎖もついているし、距離も短いのでゆっくり登ればそんなに危険なものではなかった。 |
最初の岩場 |
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岩場を過ぎると両神神社に着く。こんな山の上にあるのに立派な神社だった。両側にあるのは狛犬ではなく、精悍そうだと思ったらオオカミらしい。無事下山できるように手を合わせた。 |
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この先は岩陵帯になり、この辺りからは満開のアカヤシオの中を行く。麓で見たとおり高いところにしか咲いていなかった。葉はなくちょっと濃い目のぱっと目を引く、ピンク色の愛らしい花だ。登山道周辺は急に華やかになり、鎖場もクリアできたし、疲れも吹き飛んでしまった。 |
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両神神社 |
山頂直下が鎖場でそこを登ると、切り立った岩稜の山頂へ最後の一登り。 |
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狭い山頂は混雑していて、写真を撮るにもやっとだった。山頂は360度の大展望。少し霞んではいるものの、八ヶ岳、日光連山は真っ白に、富士山も何とか望めた。 |
10時45分両神山登頂。 |
登頂できたうれしさで、友達にヤッホーメールを送る。それまでは携帯は圏外だったのに山頂は入った。
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両神山頂 |
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いつまでも留まっていたい展望だったが、次の人に場所を譲り、少し下の広いところまで下りお弁当を広げた。 |
下りは往路を戻る。登る人、下る人で鎖場や狭いところは少し待たなければいけなくなった。 |
上りにあまり開いていなかったニリンソウは満開になり、森の奥の奥まで敷き詰めたように咲いていた。 |
産泰尾根より山頂を望む |
日向大谷2時40分着。友人夫妻とほぼ同タイムだった。 |
長くきつい山だったが、3月に行った丹沢の表尾根から鍋割山へのロングコースに比べたら楽に感じた。そして、こんなに歩いた翌日は筋肉痛になるが、今回はほとんどなんでもなく、自分でもびっくりした。念願の両神山に登頂でき、充実の1日になった。 |
両神山で出会った花(画像クリックで拡大します) |