| 甲相国境尾根というのは、大室山から三国山までの、相模と甲斐の国境をいうそうだ。 |
| 3年前に菰釣山へ行った時知り、いつか山中湖まで歩き通してみたいとずっと思っていた。だが、道志方面は交通の便が悪く、なかなか機会がなかった。 |
| 調べてみると、バスは平日、土曜日のみ午前中1本だけだが、橋本駅から3回乗り継げば行かれることがわかった。バスのトラブルや交通事情によっては乗り継げないかもしれない、スリル満点の山旅になりそうだ。 |
| 相当時間がかかるので、日が短くなったこの時期ギリギリかもしれないが、Ｊさんが入念な計画を立ててくれた。皆暗いうちに家を出て、橋本駅に集合した。 |
| 路線バスの旅 |
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| 三ヶ木（みかげ）行きのバスは多いが、その先がないため朝6時20分発に乗る。 |
| 三ヶ木では、乗り換え時間3分で月夜野行きが出発する。丹沢方面に行くと思われる登山客も多い。 |
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下善の木（富士山チラリ） |
落合橋（道志キャンプ場） |
| 3回目は月夜野で富士急山梨バスに乗り換える。バスの行き先が太マジックで『長又』と書かれていたのには笑ってしまった。乗客はたった4人。車内放送もなく乗客に下車駅を聞き、ひたすら走る。 |
| 途中のバス停で一人降り、下善の木で私達が降りるとバスは空っぽ になった。ここまで2時間余りのバスの旅だったが、トラブルもなく無事着いた。 |
| 午後の天気予報があまりよくない。雲が多いが富士山の頭が見えた。（これが今日の見納めでは？） |
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賑わう道志キャンプ場を抜けていく。 |
| 落合橋を渡り、水晶橋を渡る。浅い沢もいくつか越える。 |
| 3年前に登山口を見過し、浦安峠まで行ってしまったので、今日は失敗はできない。 |
| 城ヶ尾峠登山口 |
崩れかけた登山道 |
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| 登山口の標識は古くなり、少し林道をから外れた所に立っていたが、道はちゃんとついていた。（なぜこんな所で見過ごしてしまったのか？）ジグザグに上り、尾根をたどると予定より少し早く城ヶ尾峠に到着。 |
| 時間との戦い |
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| 今回は、平野でのバスの時間と、日没のことを考えると、遅くても5時までには着かなくてはいけない。 |
| 「そんな余裕のない山歩き、何が楽しいのか？」とＪさんはご主人に言われたそうだ。 |
| 私はワクワクするが。 |
城ヶ尾峠 |
実？（城ヶ尾山） |
| 行程は長いが、ゆっくり休んでいる暇はない。城ヶ尾峠で、水分補給とミニアンパンを食べ小休止。城ヶ尾山へは、5分程登る。特徴のない山頂なので、ここは休まず進む。 |
| 以前来た時は晩秋だったので、見晴らしがよかった。木の間越しに富士山や丹沢、道志の山々が見えたが、今はまだ葉が茂っているのであまり展望はない。 |
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ブナの大木が多くなる。 |
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| 中ノ丸へ着く。予定より少し早い。 |
| 城ヶ尾峠から中ノ丸まで昭文社の地図は１時間になっているが、私たちでさえ４０分で歩けた。 |
| 菰釣山まで2.2ｋｍ。 |
| ブナの道 |
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中ノ丸 |
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サルノコシカケのようなキノコが木にびっしりついていた。 |
| 笹が繁茂する道を行く。登山道の周りは刈り払われているので、歩きやすい。 |
| 菰釣山避難小屋到着。ウイダーインゼリー補給。 |
| キノコの木 |
菰釣山避難小屋 |
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| 菰釣山へ予定より15分早く到着。 |
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| 山頂は賑わっていて、甲府から来たという山のグループが十数名が休んでいた。お漬物を頂いたり、おしゃべりをする。 |
| 私達もお弁当を広げる。 |
| 20分の予定が30分休憩できた。 |
菰釣山へ最後の登り |
菰釣山 |
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富士山の展望のよい山なのに、厚い雲に隠れている。雨に降られなければよいが。山中湖が見えた。 |
| 日当たりがよい山頂は、トリカブトやアザミが見頃。 |
| ストレッチをし出発。 |
| 山中湖 |
御正体山とキノコの木 |
高指山まで7・4ｋｍ |
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右手には御正体山が見える。 |
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| ブナノ丸を過ぎるとまた前方にピークが見えてきた。油沢ノ頭のようだ。高指山まで5.8ｋｍ。 |
| 十分水分を補給する |
| 次のピーク（油沢ノ頭か？） |
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樅ノ木沢ノ頭 |
| 今日は行程が長いので、水も2Ｌ持ってきた。いつもよりザックが重い。もう1Ｌ以上飲んでいる。 |
| ほとんどのピークや標識のある所にはベンチがあるが、壊れかけていたり苔むしている。バスの便が悪いので、最近はあまり歩かれていないのかもしれない。 |
| 先頭を行くＪさんが「少し平坦なところは飛ばす？」と聞くが、私たち二人は「もういっぱいいっぱい。間に合わなかったらタクシーにしよう」と弱気。平らな所がもっと続けばいいのに… |
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| 今まで予定より早めだったが、だんだん余裕がなくなってきた。 |
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急登登る |
ブナ大木、少し平坦な道 |
| 反対方向から登山者がやって来た。尋ねると今日は避難小屋泊まりだそうだ。 |
| このコースを歩く人は、菰釣避難小屋に泊まったり、朝早く出発し丸一日、十数時間歩き通したり、健脚な人が多い。私達はそれは無理なので、何回かに分けて歩くしかない。 |
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| 梯子登る |
次のピークは？（石程山） |
トリカブト多い |
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菰釣山から先は、トリカブトの花が多い。花の少ない時期なので、癒される。リンドウも見かけた。 |
| 石程山に着く。高指山まで3.6ｋｍ。 |
| 急階段を下ると、山水ノ木とあり、西丸、東丸への分岐になっていた。 |
| 続くブナ道2/3過ぎたか？ |
急階段下る |
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| 車のエンジン音が聞こえてきた。山伏峠が近いようだ。 |
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| 送電鉄塔の建つ、丹沢方面の展望がよい台地に出た。明るいススキの原だ。 |
| 山伏峠への分岐、大棚ノ頭へ着いた。案内板や手作り標識などある。 |
| 高指山まで2.3ｋｍ。 |
送電鉄塔 |
丹沢の展望地 |
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あと2時間 |
| 初めての鎖場、急坂が続く。だんだん疲れもたまって来たので、励まし合い注意深く下る。 |
| 「ブナ三昧の尾根」「東海自然歩道」など、手作りの標識にほっとする。 |
| 鎖場 |
ブナ三昧の尾根（手作り標識） |
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| ずっとブナの多い自然林だったが、この辺り背の低い木に変わった。アブラチャンの林だ。春には黄色い花園になりそうだ。 |
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| ガマズミの真っ赤な実が、彩りを添える道。緑の葉も少し色づき始めたようだ。 |
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アブラチャンの純木林 |
ガマズミの尾根 |
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標識に惑わされ |
| やっと開けた富士岬平に出た。高指山まで20分。 |
| 空は一時より明るくなったが、やはり富士山は見えない。雨の心配はなさそうだ。 |
| 目の前にはススキの原で、山中湖が広がる。 |
| 富士岬平（この標識がくせもの） |
山中湖展望 |
何とか予定時間で到着できた。 |
| ここにある標識の向きがおかしいのでは？高指山はまっすぐススキの中の広い道を指している。でも、どう見てもそのまま行けば、麓に下ってしまう。左に行く道は草が茂っているが、向こうの鉄塔の先の山ではないのか？草をかき分け進んでみた。しばらく行くと、よく踏まれた道になった。あ～よかった。正解だった。 |
| 甲相国境尾根踏破 |
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| アブラチャンの林の中を通り、バラシマ峠、鉄塔を過ぎ、最後にゆるく登ると目指す高指山無事到着。 |
| 3人で手を取り合い喜ぶ。予定より少し早いので、美味しいラスクでティータイム。あ～至福のひととき。 |
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高指山到着やったー！ |
高指山（平野より） |
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あとは山中湖に向かい、平野バス停へと下る。別荘地を抜け、麓に下るとさすが山中湖。テニスコートには若者が集い、歓声が上がる。 |
| 高速バスで帰ろうかと、予約の電話をしてみたが混んでいて繋がらない。3連休なので無理かもしれない。道路も渋滞の可能性もあるし、電車にしようということに決め、路線バスを待つ。 |
| コンビニから戻ると、レトロバスの運転手さんが「富士山駅に行くよ。乗るなら早く」と手招きしている。 |
| 別荘地 |
路線バスは5時12分発なのに、そんなバスがあるとは知らなかった。 |
| 急いで乗ってしまったが、このバスはあちこち周遊し時間がかかる。予定の路線バスより遅い到着になってしまった。 |
| 富士山駅はリニューアルし、とても立派になっていた。少し待つと乗り換えなしで行けるホリデー快速がある。快速なのに、ちょっと昔の特急電車で旅をした気分。 |
| 甲相国境尾根は歩きがいのある静かな山で、心配していたバスの乗り継ぎもスムースにいったし、これなら道志方面にまた来られる。そのうち第二弾もやってみたい。 |
| 体力の限界と時間との戦いのような、こんな山歩きも面白かったが、一人ではとてもできない。仲間がいたからこそ踏破できた。一緒に歩いてくれた友人達に感謝。 |
