10月24日(木)晴れのち霧一時雨 |
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きつかった、ただひたすらの登り |
だいぶ前に西沢渓谷を歩いたことがあったが、その時はまさか甲武信岳に登れるようになるとは夢にも思わなかった。 |
今回は鳳凰三山に続き、紅葉の山に行こうと甲武信岳行きが決まった。 |
甲武信岳と言う名前は甲州、武州、信州にまたがるので、安易にその頭文字をとってついたそうだ。 |
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木賊(とくさ)山より甲武信岳を望む |
塩山に降りると、営業熱心なタクシードライバーが私たち3人のほかに単独行の男性2人に声をかけ、5人まとめてくれたので、バスで行くより1時間短縮できた。 |
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登山口までは平坦な道を30分ほど歩く。途中の休憩所で登山届を提出した。 |
家を出たときは小雨が降っていたが、西沢渓谷に着いた頃には日が差してきた。この辺りはちょうど紅葉も見頃だ。 |
まもなく近丸新道入口があるが、最近歩く人も少なく荒れていると言うので、その先の徳ちゃん新道を行くことにした。 |
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西沢渓谷入口 |
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廃屋の手前のもみじが真っ赤な林に入口があった。赤いもみじが濡れていてひときわきれいだ。 |
登山道は赤や黄色の葉で埋め尽くされている。この登りはは急登続きで私は少しビビッていたが、東京方面から登る場合他のルートでは時間的に無理があり覚悟を決めた。カラマツの林を登ると傾斜がどんどんと増してきた。 |
このルートは甲武信小屋の主人(中山徳治さん)達が切り開いたので、”徳ちゃん新道”と付いたのだと後で聞いた。高度を上げていくとガスがだんだん濃くなり、真っ白で何にも見えなくなってきた。辛いのぼりを2時間半ただひたすら登ると、近丸新道との合流点に出た。 |
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ここで昼食をとって休んでいると、そこへ汗だくの男性が降りてきた。驚いたことにもう甲武信岳山頂へ行って来たのだという。山頂付近は雪だったそうだ。 |
これから雲取山の三条の湯まで行くのだと自慢げに言う。そんな登り方もあるのかと思うが、何が楽しいのだろうか。超特急で登って、たくさん登ったことだけで満足する人もいるのだと三人でちょっとあきれてしまった。 |
ここからは戸渡尾根(とわたしおね)の更にきつい登りになった。 |
シャクナゲの道 |
周りの木や根につかまり、攀じ登るような段差の大きいところが多くなり「よいしょっ!」と知らずに掛け声がでてしまう。 |
シャクナゲが多く、シャクナゲのトンネルになってきた。森の奥まで続き、花が咲く頃が楽しみだ。 |
辛い登りもいつもは花や展望に励まされて登るのだが、今日は何も見えず、おまけに少し雨が落ちて来た。濃霧に包まれ魔法の森のようで、苔むした倒木がいろいろな形に見えてくる。 |
雁坂峠分岐の手前で、沢登をしてきたという男性が「寒いですねー」と下りて来た。私たちは登り続けているので、暑いくらいだ。でも少し休むとどんどん体温を奪われていく。 |
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木賊山(とくさやま)に着く頃にはやっと霧の中から抜け出たようで、樹々の間から光のシャワーがふりそそぐ。 |
山頂は展望がなくその先のザレ場まで来ると、幕が上がったように流れる雲の間から甲武信岳が姿を現した! |
辛いのぼりを頑張った甲斐がある。20分ほど下ったところが、今夜の宿甲武信小屋だ。 |
霧が晴れ光のシャワーが・・・ |
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丸太作りの小屋からは白い煙が立ち昇り、中に入るとカレーを作るいい匂いがしている。 |
疲れきった私たちに小屋番の男性が美味しいお茶を入れてくれた。 |
小屋の入口にお土産コーナーがあるが、欲しい人はむき出しの箱にお金を入れるようになっている。今時あまりにもおおらかで、心配になってしまう。 |
私は、いつまた来られるかわからないような山に登った時は、記念に何か買う事にしている。 |
甲武信小屋 |
今回はバンダナと巾着袋を買った。 |
梯子を上がったところが寝る場所になっていた。真中にランプが下がり、煙突を囲むように壁に沿って布団が敷いてある。 |
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私たちは南側の端から三つ。今日の宿泊者は20名とか。空きスペースはだいぶあり、ゆったりしている。 |
今朝の雪は3センチ積もったそうで、日が落ちるとどんどん冷えてきた。 |
ランプ |
ストーブを囲みカレーとイチゴムースの夕食。じっくり煮込んだカレーも、笛吹川源流の水で炊いたご飯もおししかった。 |
夕食後は小屋の主人監修のビデオ鑑賞。今日は主人が急用で山を降りてしまったので、不自由をかけるからとお詫びの手ぬぐいが配られた。 |
トイレが外で少し離れているので、外に出るとキンキンに冷えていて、少し欠けた月と星がきれいだった。 |
濡れていたベンチはもう薄氷が張っている。外の水道が凍るので、今のうちに水を汲んで置くように言われた。消燈後はランプの光がやさしく灯る。 |