夏山登山道を登る |
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気になっていた天気は曇り。でも、窓を開けると大山には雲ひとつなく、くっきり見える。宿の主人も「3時頃まではもつでしょう」と言っていた。 |
登山口まで徒歩10分という近さがうれしい。 |
昔は、剣ヶ峰、天狗ヶ峰、弥山への縦走もできたようだが、崩壊がひどい今では弥山への夏山登山道と、行者コースのみ歩くことができる。 |
登山口から阿弥陀堂まで10分くらいの階段が続く。立ち寄り、登山の無事を祈る。 |
登山口 |
阿弥陀堂 |
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西日本一ブナの原生林 |
二合目、三合目と標識があり、標高もところどころに記されているので、ペース配分に都合がよい。 |
ほとんど毎週登っているという、地元の人と話した。魚臭い境港に住んでいるので、週末はきれいな山の空気を吸いにくるそうだ。この清々しさは何度でも深呼吸をしたくなる。 |
三合目からは急登になりつらい登りだが、西日本一といわれる見事なブナの原生林だ。 |
ダイセンミツバツツジ |
三合目辺り |
まだやわらかい若葉で癒される。 |
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大山の固有種 |
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緑の中にはっと目を引くのは、ダイセンミツバツツジの鮮やかなピンク。大山の固有種だ。足元にはスミレも多く、絶滅に瀕しているダイセンキスミレ(写真失敗)もわずかだが見られた。 |
標高1250mの五合目付近で森林帯が終わると、展望が開けた。イワカガミも多い。 |
6合目からは、北壁が圧倒する近さに迫る。対面の稜線にユートピア避難小屋が見える。 |
タムシバと日本海 |
まだだいぶ雪渓が残っている。 |
六合目より、バックは北壁 |
弓ヶ浜、中海、宍道湖、光る水田、牧場、そのところどころにポコポッコとまあーるい山が珍しい風景だ。しばらく休憩して、展望を楽しむ。 |
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最近少しスリムになったkumaさんは、歩きも軽快になった。今日は私も足が軽い。 |
このコース一番のガレ場の急登を登り切ると八合目だ。途中にはショウジョウバカマがたくさん見られた。 |
八合目から景色は一変して、なだらかな木道が、山頂まで 伸びる。 |
イワカガミ |
最後のガレ場 |
強風 |
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ハイマツのような木は、ダイセンキャラボクの純林で広大な緑のじゅうたんが素晴らしい。 |
体がふらつくような強風で暑かった体が一気に冷やされる。急いでパーカーを着る。帽子もかぶっていられなかった。 |
周りの景色を見る余裕もなく、とりあえず山頂へと急ぐ。 |
ショウジョウバカマ |
山頂より避難小屋と弓ヶ浜を望む |
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崩壊進む山頂 |
大山(弥山)山頂から見る北壁と南壁の稜線は、左右を削り取られた凄まじいまでの崩壊で、まさに剃刀の刃のようだ。 |
縦走禁止の立札があるが、これでは弥山までしか行けないはずだ。 |
南は山々が重なり、北は日本海側の眺めが素晴らしい。 晴れていれば隠岐ノ島まで見えるそうだ。 |
ダイセンキャラボク・八合目より続く木道 ・東側を望む |
ぐるり360度、見渡せる。 |
強い風と寒さ(7℃)で、長居はできず、避難小屋に駆け込む。着いた人がどんどん小屋に入ってきた。宿で作ってもらったおにぎりを食べ、大休止。この小屋にはどういう仕組か、水洗トイレがついていた。 |
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木道は、小屋直下の分岐から左右に分かれる。花の時期は石室廻りで行くとよいと書かれていた。 |
強風なので、もと来た木道を引き返した。 |
大山(弥山)1709m |
雪渓 |
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行者コースと北壁 |
宿の主人が、下山は行者コースをとれば、北壁を見ながら下りられる。というので、5合目の少し上から元谷方面への分岐を下ることにした。 |
階段状になった道をぐんぐんと標高を下げていく。こちらもまた、ブナの原生林の中を歩く気持のよいコースだった。 |
30分ほど下ると、元谷避難小屋が見えてきた。 |
7合目を下る・ブナ原生林・北壁(大堰堤より) |
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元谷へ下ると、壮絶な北壁が屏風のように広がる。ギザギザの稜線、谷にはまだ雪渓が残る。今でも年に数千トンもの土砂が、崩れ落ちているそうだ。そのうち大山の山容が、変わってしまうのではないか。 |
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沢を渡り、大堰堤から最後の北壁を振り返る。再び森の中へ入り、30分ほどで 大神山神社奥宮へ着く。 |
ちょうど結婚式が終わったばかりで、白無垢の花嫁と写真を撮っていた。地元の人なのか、今風の結婚式とは違い、静かで落ち着いた感じだった。 |
無事に歩けたお礼参りをして、健脚守りを買った。 |
古い昔の石畳は、趣があるが、参列者は大変そうで、高齢のおばあさんを息子らしき人が、 背負って下って行った。 |
北壁と元谷避難小屋 |
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さらに下った所に大山寺がある。 |
予定ではもっと大変だと思い、ゆっくり目の計画を立てていたが、1時間ほど早く下山できたので、宿で汗を流させてもらった。(登山後の入浴無料) |
帰る頃には雨が降り出した。高速道路から振り返ると、大山に雲がかかり始めた。高速はETC休日割引で千円なのにとても交通量がとても少ない。 |
岡山で駅弁やお土産を買い込み、帰路についた。 |
志賀直哉の「暗夜行路」に大山の様子が書かれているらしい。もう一度読んでみようかと思う。 |
大神山神社奥宮 |
大山は、心に残る名山だった。 |